タイトル

タイトル

6.20.2015

第4回ゼミ

第4回ゼミでは廣野由美子『批判理論入門『フランケンシュタイン』解剖講義』の7章、8章について考えました。
7性格描写
○キーワード
キャラクター:文学作品の登場人物。登場人物の特性や行動様式
○人物
EM・フォースターによる分類
 イギリスの小説家,評論家。
○語彙
・平板な人物  二次元的であり、比較的単純である。物語を通して変化しない。
 ドラえもんの登場人物、歌舞伎の登場人物

・立体的な人物 複雑であり、成長をする。時には読者を驚かせる。
 性格は時間を経て変わるだけでなく人間関係でも変わる 登場人物の性格がずっと同じなわけではない

先生からの作品紹介
ロバート・アルトマンの作品 群像劇の形をとっているものが多く、登場人物の誰に焦点が当たっているかわからない


○章の要点
.・イギリスでは17世紀(近代小説がうまれる以前)から登場人物の性格の描き分けがなされ、「性格」に対する関心が顕著であった。


・性格によって滅んでいく人々
怪物
もとは善良で無知な存在であった→フランケンシュタインに捨てられ、人々から排斥される→フランケンシュタインに復讐、邪悪な殺人鬼に

フランケンシュタイン
熱中しやすい
知識欲に駆られやすい
自然、生物の隠された法則を解き明かすことに無上の喜びを覚える
気性が激しくなり、感情が爆発することも

エリザベス
落ち着いていて集中力がある
自然の美しさに喜びと感動を覚える

クラ―ヴァル
人間の行動や美徳への関心 
想像力豊かで騎士道やロマンスの本を読む

エリザベスフランケンシュタイン
      エリザベスの人の心を和らげる力によってフランケンシュタインは自身の気性の激しさを抑えることが出来た

エリザベスクラ―ヴァル
      エリザベスによりさらに思いやりがあり寛容な性質に

『フランケンシュタイン』では全体を通して性格が運命に影響している。


8アイロニー
○キーワード
・アイロニー:見かけと現実との相違が認識されること、またそこから生じてくる皮肉のこと。
○章の要点
・言葉のアイロニー
表面上述べられていることとは違う意味を読み取らせようとする修辞的表現。解釈を通して初めて認識される。   

)怪物と盲目の老人ド・ラセーの対面の場面 238

・状況のアイロニー
 意図されたりや予想されたりしたことと、実際に起きていることとの間に相違がある場合のこと。
 
 例)ウォルトンの第三の手紙と第四の手紙の落差 40

・劇的アイロニー 
 ある状況に関する事実と、その状況についての登場人物の認識が一致していないことに、読者が気づく場合に生じる。「状況のアイロニー」に読者が気付いている。

 例)エリザベスとの婚礼の夜にフランケンシュタインのとった行動 345
 
 例)『オイディプス王』

・その他

 信頼できない語り手の使用などによって、小説の構造を通してアイロニーを生まれる場合もある。

読者は含意された作者を信じ、アイロニーを感じている

 話し合いの中で今後の疑問として「三人称の語り手は本当に信頼できるのか、偏りがないのか」と問いが生じました。

 信頼できない語り手についても今後ともさらに、考えていく必要がありそうです。



0 件のコメント:

コメントを投稿