タイトル

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6.19.2015

第3回ゼミ



514() *加筆部分はフォントを変えています。
 
文責 日高華英
5.提示と叙述

○語り手が出来事や登場人物について語る方法、、、

 ①「提示」:語り手が介入して説明したりせず、黙ってあるがまま示すこと
       (ex. 登場人物の会話がそのまま記録・報告されている部分)
       ⇒語りの内容がそのまま出来事を示している

 ②「叙述」:語り手が前面に出てきて、出来事や状況、人物の言動や心理、動機などについて、読者に対して解説すること
       (ex. 語り手による要約の部分)
       ⇒語り手の言葉の簡潔さや抽象性によって、出来事や人物の特殊性は減じる方向へ向かう

○文学作品の歴史の中では、、、

 ・フローベルやヘンリー・ジェイムズ以降の現代小説
  →提示を重視。作者が姿を消した作品を、より純粋な芸術作品とする傾向。
  ※ギュスターヴ・フローベル(1821-1880):文学上の写実主義を確立した。『ボヴァリー夫人』                 =外面、内面ともにリアルに示す
  ※ヘンリー・ジェイムズ(1843-1916):英米心理主義小説(?)の先駆者として知られる。
                      =内面も大切だ、という心理主義の影響
                            (ウィキペディアより参照)
 ・1960年代以降のポストモダニズムの作品
  →叙述を重視。故意に語り手が介入することにより、特殊な効果をねらう
  ※ポストモダニズム:近代主義(モダニズム)を批判する文化上の運動。文学においては、物語の矛盾や時間軸の無秩序性を肯定的に含んだ。(明確な特徴はない)
(ウィキペディア「ポストモダン」「ポストモダン文学」より参照)

【著者の意見】
・提示と叙述はどちらも重要な方法であり、作品の各部分において、ふさわしい方法が選択されるべきである。
・小説の語りは、提示と叙述の絶妙な組み合わせによって成り立つべきものである。

○例として取り上げられている2か所について (叙述の効果)
 [前者]それほど重要でない部分であり、効率よく話を進めるために叙述を用いている。
         [後者]提示にふさわしくない場面であり、叙述により、出来事・人物の特殊性を減じることで、「フランケンシュタイン」という語り手への共感を保とうとしている。
   =提示にふさわしくないというより、生命の創造はそもそもできないものだし、その様子はかくことができない
   =ぼかすことで、怪物の不確かさ、表現しえないおそろしさなどが表れているのではないか。これぞ小説ならではの表現(まえがきで触れられているように)なのでは?
   =この場面では、叙述によって、逆にフランケンシュタイン(語り手)の心が表現されている

【疑問点】
・フランケンシュタインに共感するか?共感というよりも、その言葉に信頼をおいていいか、という点で、叙述にするメリットがあったと思う。残酷なことをしてる時点で、共感、とまではいかないのでは?
 *上記の意見+
  =語り手であるフランケンシュタインが、フランケンシュタイン(自分)について語っている
  =ここでの出来事における焦点人物はフランケンシュタイン
  =自分のことを自分で語っているのだから、語り方でその語り手の心のなかが表れる
  =叙述ではあっても、ここではフランケンシュタインという人物の生々しさが生じている

6.時間

○「アナクロニー」:ストーリーにおける出来事の順序とプロットにおける出来事の順序が合致しない場合

 ・「後説法」:出来事の継起を語っている途中で、過去の出来事や場面に移項する方法。「フラッシュバック」 cf. 映画でもよく使われる。

 ・「先説法」:まだ生じていない出来事を予知的に示す方法。
        「フラッシュフォーワード
       ex. 未来に起きる出来事をあらかじめちらりとほのめかす「伏線」もこの一種。 (169ページ)
  =具体的にどんなもの?
  =天気などの情景描写も伏線としてこれにあたるのでは?
  =気づかないところで、先説法は使われているのでは?
  =ミステリーにはよくある
  =キャラクターとしての予言者が現れて、こうなるかも、と言ってしまうのは、先説法ではない
  =例えば映画で、地球滅亡後の様子がちらっと写されてからの、現代からスタートすると、まだ生じていない出来事を予知的に示せる
  =小説においては、細かく本当に細かく章が分かれているとき、ぱっと未来の出来事をほのめかす章が含まれていたりする

 ・「イン・メディアス・レース
   :すでにある程度進行している物語の途中から語り始める方法。

○時間操作の方法
 ・三人称の語りの場合、全知の語り手が出来事の間を行き来しながら、時間を自由に操る。
 ・一人称の語りの場合、語り手や登場人物の回想や手記、手紙などを用いることにより、時間を移動させる。
 →フランケンシュタインは、後者の方法で時間の操作が行われている

○「時間標識」:作品のなかの時間を特定する材料となる具体的情報。

複数の時間体系が存在し、語り手がその体系を行ったり来たりしながら、話が進んでいる。(352ページ)

○物語の速度

 ・「省略法」:ある期間を省略して、一気に飛び越える方法
    「限定的省略法」:省略された時間が指示されている
    「非限定的省略法」:   〃     されていない (370ページ)
  ⇒物語は無限の高速度で進む

・「要約法」:数日間や数か月、あるいは数年に及ぶ生活を、行動や会話などの詳細を抜きにして、数段落や数ページで要約する方法。 (352ページ)
  ⇒物語の速度は速まる

・「情景法」:物語の場面が劇的に提示され、理論上、物語内容の時間と物語言説の時間の速度が等しいもの。
 ⇒速度はそのまま

・「休止法」:語り手が物語の流れを中断させ、語り手としての特権を行使し、物語のその時点では登場人物がだれも見ていないような光景や情報を示すやり方。
 ⇒速度はゼロ
 =イメージとしては、、、動画を再生→一時停止して、解説を少し→また再生
 

【疑問点・考え】
 ・休止法の例が上手く見つけられない。だが、「伏線」もその一例として入るのではないか?
  =すべての伏線が語り手による語りとは限らない
 ・提示=情景法、叙述=省略法or要約法or休止法、と単純に結びつけて考えていいか?
         =語り手の介入     =休止法の中には、叙述を用いているものもある、という程度

○桃太郎の話をいろいろと変えて、具体的に考えてみた○
 (下の板書を見ながら、もう一度理解し直すことができたら、きっと完璧。
  ということで、あえて、写真だけ載せます。)


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