10月22日(木) 特別講義準備
文責 日高華英
明治27年 三重県名張市生まれ (1894年)
大正3年 E.A.ポーやドイルなどの理知的探偵小説の妙味を知る
大正12年 処女作「二銭銅貨」発表
大正14年 乱歩の回想「自分の持っている小説力ともいうべきものを殆んど出し尽くした」~昭和2年 「私の作家としての最良の時期であった」
昭和4年 「陰獣」発表 …1年2か月ぶりの作品
・江戸川乱歩は謎解きや犯罪トリックを中心にする「本格志向」と、いわゆる怪奇幻想志向とのふたつの傾向をあわせもっている
・構成:全体としては時間の順序に従って書かれた実話仕立て
小説のためのメモという性格上、経緯の説明の随所に独白小説的な心理説明
=実話仕立てと本人の心理説明という二重のしくみ
・乱歩自身認めるようにいわば初期の〈集大成の形〉
・江戸川乱歩の三分身がおりなす事件
・世の中に受けとめられている自分自身を作品の中に示している
・一人称独白体
・ひとつの事件にいくつもの解釈が可能なのだという思想
・江戸川乱歩の『陰獣』は、ひとりの人間の心理においても事実というものが多義性をもって現れることを形象化した作品として異議をもつ
・批評の多くは、結末に疑いを残したことを非難していた
・江戸川乱歩の〈純粋の探偵小説〉は、探偵の推理を描くと同時に、厳密な推理がつねに真相に到達するわけではないことをも示している
・探偵小説というもの自体、現在と戦前では評価のされ方が大きく違う
1927年 『一寸法師』
1946年 『パレットナイフの殺人』「心理試験」大映
1948年 『一寸法師』松竹がリメーク
1948年 『幽霊塔』大映
1950年 『氷柱の美女』「吸血鬼」
1954年 『怪人二十面相1~3』『青銅の魔人1~4部』松竹
1955年 『一寸法師』新東宝 …江戸川乱歩賞が発足した年
1956年 『死の十字路』「十字路」
『少年探偵団』シリーズ 東映
1957年 『少年探偵団』シリーズ 東映 (つづき)
1958年 『透明人間』『首なし男』小林恒夫
『蜘蛛男』新映画社
1960年 江戸川乱歩の世界がスクリーンから消えた
1962年 『黒蜥蜴』大映
1968年 『黒蜥蜴』松竹
1969年 『盲獣』大映『恐怖奇形人間』東映
1970年 『屋根裏の散歩者』1976年も
1977年 『陰獣』松竹
1994年 『屋根裏の散歩者』『押絵と旅する男』『RAMPO』
・1969年までは、全体として映画の本数は増えていったにも関わらず、乱歩の作品は不振に終わっていた
・近年になるにしたがって乱歩をきちんと生かした映画化が増えてきた
・日本映画人の精神が自由になったから
・犯人の名が、「陰獣」では、最初に提示される
→探偵小説が「名」を中心に構造化された物語であることを顕在化させる
・猟奇的作家「大江春泥」と、その凡庸な本名「平田一郎」
→「江戸川乱歩」 →「平井太郎」
・小説家にとっての「名」は重要
…江戸川乱歩 奇矯さ、特殊性、顕在性
平井太郎 凡庸さ、一般性、匿名性
・「江戸川乱歩」は、「エドガー・アラン・ポー」に由来
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