タイトル

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10.27.2015

後期第2回ゼミ

後期初めてのディスカッションとなる第2回ゼミでは、
『小さいおうち』を作家論、テーマ論で考えてみました。

作家論

作家論とは、その作家について考え、
どんなことを作品を通して伝えたいのかを研究することです。
作家論をするためには、その作家がどういう人なのか、何主義に属しているのか、
どういう問題に取り組んでいるのか、などを考えていかなければなりません。
今回私たちが考えたのは『小さいおうち』の作者である中島京子についてです。


中島京子

1964323日生まれ

東京女子大学文理学部史学科卒業後、日本語学校教員、フリーライター、出版社勤務を経てインターンで渡米。その後2003年に『FUTON』で作家デビュー。

父は中央大学名誉教授の中島昭和、母は明治大学元教授の中島公子、どちらもフランス文学者である。姉はエッセイストの中島さおり。

 

143回直木賞(2010年上半期) 『小さいおうち』

42回泉鏡花文学賞(2014) 『妻が椎茸だったころ』

3回河合隼雄物語賞(2015) 『かたづの!』

4回歴史時代作家クラブ賞(2015) 『かたづの!』

10回中央公論文芸賞(2015) 『長いお別れ』

そのほかに、インタビューによると女中小説が好みであったり、ジェンダーの問題に取り組んでいたりと、彼女についていろいろと考えることができます。
戦後生まれでありながら『小さいおうち』のような戦時中の描写をしたり、あとがきでの発言から、戦争に反対する女性作家というイメージがディスカッションの中で生まれました。

作品論

作品論は作家論とは対照的に1つの作品で何が言いたかったのかを考えていくものです。
私は、『小さいおうち』に対する先行研究やインタビューから、
①戦時中の人たちの意識と私たちの思う当時の人たちの意識の不一致
②気取られることなくしんこうする戦争の恐怖
③読者にミスリードさせる入れ子構造の面白さ
の3つがその言いたいことなのではないかと考えました。
さらにディスカッションを通して、物語の中に多様な女の人が出てくることに
意味があるのではないか、そうした女性の姿を書くのも目的だったのではないかとの見方も生まれました。

また、作品論の陥性(落とし穴)というのもあり、作品の中に書かれていることすべてが咲く社外としていることではなく、100パーセント作者と結びつけることはできないと講義してもらいました。

今回は後期1回目のゼミということで、後期の忙しさを垣間見ました。
しかしここをがんばれば何か見えてくるそうなのでどうにか食らいついていこうと思います。

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