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以下、レジュメの内容
8.マルクス主義批評
☆キーワード
・マルクス主義批評:文学テクストは、それ自体の内部からすべての意味が引き出せ
るような完結した存在ではなく、ある特定の歴史的時点に生じ
た「産物」であると考える。その生産には政治的・社会的・経
済的条件が絡み合っており、それらとの関係において作品の意
味を解明すること。
るような完結した存在ではなく、ある特定の歴史的時点に生じ
た「産物」であると考える。その生産には政治的・社会的・経
済的条件が絡み合っており、それらとの関係において作品の意
味を解明すること。
マルクス主義批評家にとって、「歴史」とは対立する社会的な
力の闘争を意味する。文学作品が「物」として歴史的に存在す
るかぎり、何らかの「闘争」が表現されているはずだと考えら
れている。闘争自体がテーマでなくとも、テクストのなかに、
統一を崩す矛盾の要素が含まれているはずで、そこに「歴史
性」を見いだす。
力の闘争を意味する。文学作品が「物」として歴史的に存在す
るかぎり、何らかの「闘争」が表現されているはずだと考えら
れている。闘争自体がテーマでなくとも、テクストのなかに、
統一を崩す矛盾の要素が含まれているはずで、そこに「歴史
性」を見いだす。
☆人物紹介
・カール・マルクス(1818~1883)
(Karl
Marx)
ドイツの経済学者・哲学者・革命家。科学的社会主義の創始者。
主な著書は「哲学の貧困」「共産党宣言」「資本論」など。
(『デジタル大辞泉』より引用)
・フリードリヒエンゲルス(1820~1895)
(Friedrich
Engels)
ドイツの思想家・革命家。マルクスと科学的社会主義を創始。「ドイツ‐イデオロギー」「共産党宣言」を共同で執筆。マルクス死後は、社会主義運動に参加しつつ、その遺稿を整理して「資本論」の第2・第3巻を刊行
(『デジタル大辞泉』より引用)
☆語彙
・マルクス主義:マルクスおよびエンゲルスによって確立された思想体系。弁証法的
唯物論・史的唯物論・マルクス経済学・階級闘争論・社会主義の理
論などからなる。資本主義の発展法則を解明して、生産力と生産関
係の矛盾から社会主義へ移行するのは必然的な結果であるとし、そ
の社会変革は労働者階級によって実現されると説く。
(『デジタル大辞泉』より引用)
唯物論・史的唯物論・マルクス経済学・階級闘争論・社会主義の理
論などからなる。資本主義の発展法則を解明して、生産力と生産関
係の矛盾から社会主義へ移行するのは必然的な結果であるとし、そ
の社会変革は労働者階級によって実現されると説く。
(『デジタル大辞泉』より引用)
・フランス革命:1789~99年にフランスで,ブルボン王朝の圧制下にあった市民が,
啓蒙思想の影響,アメリカ合衆国の独立に刺激されて起こしたブル
ジョア革命。バスティーユ襲撃に始まり,人権宣言の公布,立憲君
主制の成立を経て,92年に第一共和制を樹立し,翌年ルイ一六世を
処刑。ジャコバン派による恐怖政治,テルミドール反動後の総裁政
府の時代を経て,ナポレオンの政権掌握により終結。
(『大辞林 第三版』より引用)
啓蒙思想の影響,アメリカ合衆国の独立に刺激されて起こしたブル
ジョア革命。バスティーユ襲撃に始まり,人権宣言の公布,立憲君
主制の成立を経て,92年に第一共和制を樹立し,翌年ルイ一六世を
処刑。ジャコバン派による恐怖政治,テルミドール反動後の総裁政
府の時代を経て,ナポレオンの政権掌握により終結。
(『大辞林 第三版』より引用)
・清教徒革命(ピューリタン革命):1640~60年にイギリスで起こった革命。チャー
ルズ一世の専制強化をめぐり宮廷と議会の間で
内乱となり,ピューリタンを中心とする議会派
(地方派)が王を処刑し共和制を施行。クロム
ウェルの革命独裁を経て,その死後王政が復
活。清教徒革命。
(『大辞林 第三版』より引用)
ルズ一世の専制強化をめぐり宮廷と議会の間で
内乱となり,ピューリタンを中心とする議会派
(地方派)が王を処刑し共和制を施行。クロム
ウェルの革命独裁を経て,その死後王政が復
活。清教徒革命。
(『大辞林 第三版』より引用)
☆章の要点
・時代歴史状況
・出版
初版 1818年:ナポレオンの敗北によってフランス革命が終結した直後。
第三版
1831年:イギリスで選挙法改正法案が通過する前年。
→フランス革命の影響によって、イギリスは政情不安定に陥っていた。
メアリ・シェリー(作者)は革命の雰囲気が漲るイギリスの危機的状況のなかで生きていた。
・物語
・1792〜1799年
→フランス革命の真っ最中にもかかわらず、フランス革命にまったく触れて
いない。
いない。
・清教徒革命に触れている。
→暴君的な専制君主の典型であるチャールズ一世に対して同情的。
しかし作者の支持していたのは自由思想とは異なっている。
・怪物とは何か
・清教徒革命とフランス革命の共通点
→啓蒙思想を基盤としており、絶対君主制を打ち倒して正義や理性に基づく社会
秩序を作り出そうという試み。(近代社会の成熟の成果)
秩序を作り出そうという試み。(近代社会の成熟の成果)
→しかし、さらなる暴虐と無秩序に帰ってしまう。
旧政体を打倒するために群衆を形成→非理性的な行動をして新しい秩序を作ること を阻む。
「群衆の力」=「怪物」
・産業革命
・新しい技術や機械の突然現われた
→一般市民にとって「怪物」
・産業革命による産業労働者という新たな階級の形成
→支配者層にとって「怪物」
ex.ラッダイド運動
・モレッティ
—小説での「怪物」と新興労働者階級には共通点がある。
・どちらも人工的に造られたもの
・ばらばらの人間の寄せ集めで、自然な有機体としての統一を欠く
・フランケンシュタインは、科学と技術の進歩を目指して人造人間を造る
資本主義は、技術革新によって労働者階級を生み出す
→創造者にとって破壊的な怪物になった。
フランス革命や資本主義→怪物を生んだ。
自らの苦しみを語る怪物→自分ために語る言葉を持たない労働者たちの代弁。(モンターク)
・ジャスティーヌの法廷
→直接、暴力的な起これる群衆(=怪物)が描かれている。
・ジャスティーヌの処刑
→1800〜1820年の時期は、イギリス史上最も死刑の執行がなされた。
つまりジャスティーヌの処刑はイギリスの動乱期を示すものである。
つまりジャスティーヌの処刑はイギリスの動乱期を示すものである。
・闘争としての歴史
・マルクス主義批評家にとって、「歴史」とは対立する社会的な力の闘争。
・『フランケンシュタイン』の二つの矛盾
・怪物創造のプロセスの直接的描写がテクストにない。
・近代の産業社会が描かれていない。=「科学技術」がテクストに欠落。
→科学技術の進歩は社会に分裂をもたらし、人間を新たな隷属状態に至らしめ
た。
た。
9.文化批評
☆キーワード
・文化批評:文化研究の考え方を土台にした批評方法。
☆語彙
・文化研究:優れた作品をキャノンとして権威づけることを否定し、文化的産物であ
れば、写真であれ広告であれすべて同等に扱い、差別しない。文化研究
の目的は、価値評価による作品の位置づけではなく、文化背景おける作
品の関係づけ。
れば、写真であれ広告であれすべて同等に扱い、差別しない。文化研究
の目的は、価値評価による作品の位置づけではなく、文化背景おける作
品の関係づけ。
・ヴィクトリア朝:ヴィクトリア女王がイギリスを統治していた1837年から1901年の
期間を指す。この時代はイギリス史において産業革命による経済
の発展が成熟に達したイギリス帝国の絶頂期であるとみなされて
いる。(Wikipediaより引用)
期間を指す。この時代はイギリス史において産業革命による経済
の発展が成熟に達したイギリス帝国の絶頂期であるとみなされて
いる。(Wikipediaより引用)
☆章の要点
・古典作品を対象とした文化批評的アプローチ
・ある文学テクストのハイ・カルチャーとロウ・カルチャーとの間の行き来の過程
を検証。
を検証。
・原作とドラマや映画などの翻案との比較。
・文学的キャノンとされる作品を通俗的な読み物として読む。
・原作や翻案から、時代の文化的背景の重要なテーマを取り出す。
・二つの文化の間での揺れ動き
ヴィクトリア朝文学などの知識階級向けの「ハイ・カルチャー」に吸収され、一般大衆向けの「ロウ・カルチャー」にも演劇・亜流の小説風刺漫画などを通して浸透していった。
・原作からの逸脱と変容
・「科学者」「造られたもの(怪物)」「生命の創造」という要素は残されてい
る。
る。
しかし、これらは翻案作品が作られた時代の文化風土で変容してきた。
・『フランケンシュタイン』という物語が長持ちした理由
「人間の企てが人間の手に負えなくなって、造った側にふりかかってくるという話」
=私たちにとって怖い話であり
人間が身体という生物的側面を超克できないと不安は解消されない。
→「フランケンシュタイン」の物語は書き換えられ続ける。
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「マルクス主義批評」で、ムーティー先生から「技術はなぜ革新したのか、資本主義との関係はなにか?」ということを聞かれました。普段、技術革新と資本主義というのはセットのように考えていたので、特に疑問を抱いていませんでしたが、改めて考えてみるとわからない。この疑問は解けぬままムーティー先生の講義へ。しかし、その講義の中に答えはありました!
それは「資本の論理」の相対剰余価値についての説明で
ある「商品A」を作っていたとして、それを増産したい場合どうすればいいか、という問題の解決策を考えた時です。
1つ目は労働時間を延ばす=絶対剰余価値
確かに、労働時間を延ばせば商品は多く作れます。
2つ目は技術革新=相対剰余価値
これが重要。これによって労働時間を増やさずに増産することができます。なので、人件費がかからない。
労働は一日で買うので、時間というのは大切です。
例えば
1時間=5個の商品A
1時間=10個の商品A
を比べてみるとどうでしょう。
技術革新によって、「商品A」を1個作るためにかかる時間は減りましたが、「商品A」の価値は変わっていません。しかしながら、富と価値の関係は変わっています。これによって大きな利益がもたらされます。ここで資本主義と繋がってきて、つまり技術革新は資本主義に求められることで起こったのではないか、ということです。
私は「技術革新が起きて資本主義がより強くなった」としか思っていませんでしたが、根っこの部分から考えると資本主義あって「資本主義が求めることで技術革新が起きて資本主義がより強くなった」というのは、新たな発見でした。
ムーティー先生の講義では、いわゆる伝統的なマルクス主義やポストコロニアリズムへの批判、それ対するマルクス主義者の反論。また先ほどの資本の基本的なこと、さらに資本主義による世界の同質化について説明がありました。そして第三世界の問題や可能性などにも言及があり、とにかく盛りだくさんの内容。ムーティー先生の講義は難しかったのですが「マルクス主義批評」についてのより深い理解と、次に学ぶ「ポストコロニアル批評」へと繋がるもので、とても充実した時間でした。
ワタリウム美術館にも外観だけでしたが見てきました。(うっかり書き忘れてました。)
楽しくて一日があっという間に過ぎてしまいました。またこういう課外活動ができたらいいなぁ。
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