タイトル

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6.09.2014

第6回ゼミ

2014/5/21


今回は『批評理論入門『フランケンシュタイン』解剖講義』第1部、9章と10章の内容を学びました。


この章では新しく出てきた概念の理解が議論の中心になりました。
レジュメからもっと発展的な内容になったので、今回はレジュメをあげずに授業を受けて理解したことをここでまとめたいと思います。


まず9章の「声」では、「モノローグ的」と「ポリフォニー的」というキーワードが出てきました。
最初からムズカシイ・・・


モノローグ的とは、作者の単一の意識と視点によって統一されている状態のことを指します。
「語り手」ではなく「作者」というところがポイント!
物語全体の流れや結果が、作者の理想を反映している話ということです。
作者の理想を反映した主旋律があり、その周りは補助的な働きをします。
物語を読んで作者の言いたいことや共感していた登場人物が分かるものはモノローグ的といえます。


ポリフォニー的とは、多様な考えを示す複数の意識や声が、それぞれ独自性を保ったまま互いに衝突する状態のことで、「対話的」なものも含まれます。
登場人物がそれぞれの道を歩んでおり、一つに収集することができません。
作者が理想を反映している登場人物が分からない、またはいない場合がポリフォニー的といえます。


例として挙げられていた作品が、
モノローグ的:『戦争と平和』などトルストイの作品
ポリフォニー的:『カラマーゾフの兄弟』などドストエフスキーの作品 でした。


『フランケンシュタイン』は、ウォルトン、フランケンシュタイン、怪物がそれぞれで動いており、誰か一人に収集されるわけではないことと、作者が誰に理想を反映しているのかが分からないため、ポリフォニー的といえます。


ただ、この二つの概念は完全に分離しているわけではなく、始めはポリフォニー的かと思ったら途中からモノローグ的になるものもあるので、区別が難しいと感じました。




次は10章の「イメジャリー」です。
イメジャリーとは、ある要素によって、想像力が刺激され、視覚的映像などが喚起される時に起こる、イメージ(心像)を喚起する作用のことで、働きによって「メタファー」「象徴」「アレゴリー」に分類されます。


メタファー:あることを示すために、別のものを示し、それらの間にある共通性を暗示する
象徴:特に類似性のないものを示して、連想させるものを暗示する
アレゴリー:具体的なものを通して、ある抽象的な概念を暗示し、教訓的な含みを持たせる


ここで問題になったのが「象徴」と「アレゴリー」の違いです。
これまたムズカシイ・・・


まずは比較的わかりやすいメタファーから説明します。
「風車の森」と言ったとき、この森は本物の森を指しているわけではなく、風車の群れを木の群れである「森」にたとえているもので、これをメタファーといいます。


次に象徴です。
『フランケンシュタイン』では月が母性や狂気の象徴として使われていました。
ですが、この物語が無かった場合、月=狂気または母性とすぐに結びつけるのは難しいでしょう。
つまり、象徴は物語の中でのみ暗示するものが特定できるということです。
関係のないもの、もしくは選択肢が多いものに作者が意味をつけていくのが象徴だともいえます。


最後にアレゴリーです。
アレゴリーは、キツネ=ずる賢い、コウモリ=どっちつかずなど、物語の中でなくても暗示するものが分かる言葉です。
意味が固定されており、記号化しているともいえるでしょう。
始めは象徴だったものが特定の意味を持つようになり、アレゴリーになるとも考えられます。
アレゴリーが教訓的だといわれているのは、答えが複数あるのではなく一つに導かれているからではなでしょうか。


また、このアレゴリーは、文化的・地域的に変わる可能性があります。
たとえば、さっき挙げたキツネ=ずる賢いは稲荷神社に使えている人には通じないかもしれません。
他にも、日本では醜いものとされている蛾が、タイでは美しい夜の蝶を指すそうです。
物語の中で、蛾を美しいものの暗示として使ったとき、タイではアレゴリー、日本では象徴として使われていることになります。
このように、アレゴリーと象徴は完全に分類できるできるものではなく、人によって変わるということがわかりました。


象徴とアレゴリーの定義は、学問や学者によって若干違うそうですが、今回の議論ではこのような結論でまとまりました。


ゼミは5限なので18時には終わるはずなのに気づいたら19時を過ぎている不思議。
そのくらい熱い議論を行っております(笑)
ブログもこんなに長くなるとは・・・
今後もどんどん新しい概念が出てくると思うので、頭をフル回転させて頑張りたいと思います!













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